ホーム > 生育の研究 > 斑入り
 What is spots 斑入り(植物)とは

 葉や組織の細胞内に含まれている葉緑素の全てあるいは一部が失われる現象で、色の違った模様が現れることを言います。
 葉緑素が全て失われた場合、組織に含まれていた葉緑素以外の色素の色が現れ、カロチンやアントシアニンなどの含有量によって、斑入り部分は白色や黄色、ピンク色など様々な色合いを示します。
 また、完全に葉緑素を失わない場合には、淡緑色や黄緑色となります。
 しかし、その植物種の特徴としてすべての枝葉に現れる場合、また新葉のみ色が異なる場合(relay type)は斑入りとは言いません。


キルキイ カッパートンの斑入り

 Feature with spots 斑入りの特徴 

 斑入りはその美しさから、特に日本では古くから珍重されてきました。
 しかし、葉緑素は植物の光合成に必須の材料ですから、斑入り植物は元の植物と比べると光合成能力が低下するため、発育も遅く、全ての環境(低温・直射日光・環境の変化・肥料過多・多湿)に対して丈夫ではありません。
 そのため、斑入り植物の取扱い、栽培において注意が必要です。


 
Mechanism of kind existence with spots 斑入り種存在のメカニズム 

 斑入りは遺伝による場合と突然変異による場合がありますが、私自身、各書物を読んでもよくわかりませんでした。
 ただ、サンセウィエリアの場合、元々斑入り種というのは存在しなく、たまたま自然界で起きた斑入りを発見し、それを継承させたことによって斑入り種が存在するのみと考えます。
 斑入りの発生は恐らくウィルスなどにより、葉緑素の1部が失われ、その部分が斑入りとなったと思われます。
 しかし、本来斑入りは病気なので、自己回復機能により斑が消えていくのですが、人の手によってその斑入り部分をうまく継承させることで斑入り種を作り出していると考えています。
 なぜなら、昔から流通していたハニイ種などは、斑入りの葉挿しを行うと殆どの場合、斑が消えた仔が殆どで、元の斑入りが出ることは稀だったからです。
 しかし、今出回ってきているサンセウィエリアの斑入りは大抵の場合遺伝し、その株から出た仔は殆どの場合、斑入りを継承しています。
 元々ウィルスによる斑入りは遺伝しないのですが、サンセウィエリアの場合は人の手により、キメラ(異なった遺伝子を持つ細胞が混在する生物)へと変化させたものではないかと思います。
 そうなったことで、斑入り種が現在受け継がれているものと考えています。
 何故キメラなのかと言うと、サンセウィエリアの斑は殆どの場合、面積の割合、場所とも安定しなく、同じ斑を同じように継承させるのが困難だからです。


フィスケリの斑入り

 Current state with spots 斑入りの現状 

 今、色々な種類のサンセウィエリアで斑入り種が出てきていますが、これらの大半はタイで作られ、それらを継承したものとなっています。
 ここで「作られ」と書きましたのは、数多くあるタイのナーセリーでは1品種につき5000から10000本も葉挿しして繁殖させているようですが、それらから稀に斑の入った仔が見つかるそうです。
 その仔を成長させ、さらに安定した斑となるまで仔を繁殖させ、やっと斑を継承できるサンセウィエリアになるのだそうです。
 大きなスペース、大量の株、そして時間もお金も必要ということですね。
 なお、これは年中暑い地域でのことで、日本のように生育できない時期がある地域では、さらに困難であることもわかると思います。
 そのような理由から、斑入り種の値段が桁違いであるのも頷けます。