ホーム > 植物検疫
 Problem in Japan 日本における問題

 サンセウィエリアは先に書きましたように、高温乾燥地帯に生息する植物です。
 そのような地域では雨季や乾季はあっても、日本のように四季はありません。
 それらの地域で採取したサンセウィエリアを日本に持ち込めば、当然ながらいくつかの問題があります。

 1つは皆さんもご存知のように日本には冬という季節があり、それが問題だと気が付くはずで、温室のある場所では温室に取り込んだり、また温室がない場合には家の生活空間に取り込んで、できるだけ温度を下げない環境を保つ工夫をします。
 その温度が15℃以上をを保てる場合は、サンセウィエリアも活動を停止しないため、若干の水を与えて最低限の水遣りをします。
 また最低温度を15℃に保てない場合は、水遣りを一切止め、15℃を超える温度になって初めて若干の水遣りをします。
 ここで、15℃と言うのは今までの経験から、大部分のサンセウィエリアが大丈夫であろうと思われる温度で、種類や個体によっては15℃でも温度が不足のサンセウィエリアも存在します。
 また反対に、15℃以下でも持ち堪えるサンセウィエリアもありますが、新たに日本に入ってきている品種には殆ど存在しません。
 よって、今あるサンセウィエリアの個体の中で、一番寒さに弱いと思われる個体に合わせて管理しなければなりません。
 または、置き場所をそれぞれ変えて、その個体に合わせる方法でもいいでしょう。
 これらができるのは、サンセウィエリアは半年間、水を一切与えなくても生きているという事実からで、それは活動を停止しないサンセウィエリアにも当て嵌まるからです。

 もう1つは、恐らく多くの方が気にしていないと思うことで、それは日本の夏です。
 日本の夏は高温多湿で、ラニーニャの今年(2010年)は気温35℃、湿度80%を超えた日が何日も続きました。
 また気温30℃、湿度70%まで下げても、2ヶ月以上も続いた地域が殆どでした。
 気温は良しとしても、湿度は南国の植物にも応えたようで、我が家のハイビスカスは1つも花を咲かせませんでした。
 そんな環境の中、サンセウィエリアはどうだったのかと言うと、毎日観察していましたが、やはり成長は鈍り、水の吸い上げもかなり減っていました。
 ですから当然ながら水遣りの間隔を倍に伸ばしましたが、同様にミネラル量も減らしました。
 このような環境が2ヶ月ほどでしたから特に支障が出たサンセウィエリアはありませんでしたが、もっと続けば様変わりすることもあるのではないかと思います。
 対処方法は人と同じで、やはり風を当ててあげるのが一番だと思います。
 これは経験からですが、昨年置き場所を変えて風が通らないところに置いた数株の葉が一気に腐りました。
 株全体ではないので、風通しを良くしてその後は回復していますが、やはり多湿ですと体感温度が上がりますから、体感温度を風で下げてあげることが大切だと言うことです。

 これはデータですが、実際にサンセウィエリアの故郷ではどれくらいの湿度なのかを調べたデータです。
  タンザニア ムベヤ 26℃ 23% 18:00
  タンザニア イリンガ  26℃ 29% 18:00
  ジンバブエ カリバ 34℃ 41% 14:00
  ジンバブエ マトボ 25℃ 14% 19:00
  ソマリア モガディシュ 29℃ 20% 10:00
  ソマリア キスマヨ 31℃ 60% 10:00 (雨)
  南アフリカ キンバリー 33℃ 4% 19:00
  ケニア ガリッサ 35℃ 29% 15:00
  ナイジェリア ソコト 37℃ 12% 16:00
 本来なら7月・8月のデータが一番良いのですが、その時点で調べませんでしたので、上のデータは今日(11月6日)のものです。
 日本の今日の湿度がおよそ60%でしたから、サンセウィエリアの故郷ではかなり低いことがわかります。